あなたがいたから
だが、それは長くは続かなかった。
一階から少女の母親らしき人物の声がしたからである。
「みく〜。もう朝よ。
あなた、今日は高校の入学式でしょう?
ただでさえ学校まで遠いのに…さっさと起きなさい!」
未来は、母親の声でようやく目が覚めた。
未来は母親に声をかけずに目を擦った。
目を擦ると、涙が溜まっていた。
つまり、未来は泣いていたのだ。
そのことに気付くと、
「また、あの夢を見たんだ。…今でもまだ泣いてるなんて……。」
そうつぶやいたあとに未来は学校の制服に着替え、自分のくせがほとんどない真っすぐな長い黒髪を適当にクシでといた。
そのあと、自分の鞄を持って朝食を食べるためにリビングへと向かった。