若葉町物語
「大丈夫だよ。ありがとね」
絞り出すように発した声は、余計にその子を心配させたのだろう。
「一緒にいてあげる」
そう言ってその子は車椅子のタイヤを動かしながら私の方にこいできた。
その子のその行動に、もっと泣きそうになった。
「私、豊田 千早。小学3年生」
まだ、3年生なのに…。
きっとたくさんの見なくていいものを見てきたんだろう。
「私は、青木 千花。ちぃすけって呼んでもいい?」
ちぃすけはうん、と頷いた。
私は痛みが落ち着くと、大丈夫だよ、と言ってちぃすけを自分のベットに戻らせた。