月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
拓真side

「原田ーーーーー!!!!」

東雲が叫びながら扉を開ける。そこには、予想もしてなかった光景があった。

「…っ!!」

横たわる月の悲惨な姿。それにまたがる原田正也。その顔は、俺にそっくりだった。

「てめぇ…っ」

怒りが爆発しそうだ。みんなもそうだろう。東雲なんかは特に…

「てめぇが原田正也か」

「そうだ。お前らは?」

「俺は…「火銃(ひじゅう)!!!」…」

よく見ると、みんな戦闘体制に入っていた。

「そんなのどうだっていい!!てめぇ…っよくも月をそんな風にしやがったな!!」

「俺は、あんたを許さへん…っ!!」

「月を返しなさい!!」

東雲、雅、桜華が叫ぶ。だが原田正也は笑った。

「アーッハッハッハッハッ!!」

「何がおかしいっ!!」

「…行け」

その声と共に、後ろから敵が大勢現れた。そいつらはさっき、俺達が倒した奴らー…

「ちくしょう!!やるしかねぇ…っ火石(ひせき)!!」

東雲が後ろを向き、巨大な火の塊を投げる。雅も桜華も、技を繰り出す。その間に原田は月を横抱きにして、去っていく。

「待て!!…ッチ!!おらぁ!!」

敵を薙ぎ倒しながら進む。ふ、と横を見ると空が倒れていた。

「空!!大丈夫か!?」

「う…っ拓兄…?」

「あぁ、俺だ!!もう大丈夫だからな!!」

「花が…あそこに…」

力なく指をさす空。そこには、柱に縛られた花がいた。そして、月もー…

「…っ!!」

「俺が…花を助けなきゃ…っ」

「空…」

そう言って立ち上がる。だけど体はフラフラで、今にも倒れそうだった。
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