Hurly-Burly 5 【完】
ちょっと、ブルーな感傷に浸っていると、
あたしの気持ちなんてお構いなしに伊織君が、
陽気に鼻歌なんか歌ってる。
「収穫でもあったのかね?」
どうも、連絡先をゲット出来たらしい。
「後は、行きてえとこねえのかよー?」
「・・・・は?」
今ので任務完了してしまった。
このために家を出て来たのだから後は帰るだけと
思っていたわけで首を傾げた。
「もう終わりかって?こっから、暇?」
いや、暇ではないよ。
これから、帰ってポイズン調べる予定が!!
「暇かと言われればノーなのだが・・・暇・・暇なのか!?」
早急に調べたくてウズウズしてるのよ。
しかし、そんなの口が裂けても言えない!
伊織君の中に眠るサタンをたたき起こすことに
なり兼ねない。
「どっちだ~?」
脱力感満載な伊織君のふらついた声に、
何となくここは暇ですをコマンド選択した。
変に疑われずに済みそうだしな!
大事な用事ではないが、大事な研究がある。
これは極秘研究なので誰にも悟られちゃいけないのである。
「なら、どっか行くかー?」
「ど、どこへ行くつもりだ!?」
へ、変なところに連れて行ったら承知せんぞ!
「ちょっと、お姫ー、お姫様なのにやらしーこと
考えちゃったでしょー?」
「なっ、何を言うか!」
伊織君が馬鹿なのかって顔であたしを見る。
可哀想な子だなって絶対に思われた。
「だ、大体、お姫ごっこ終了!」
いつまでやってるんだよ!
すっかり、忘れてまったでねぇか。
その設定は永久に封印で良いよね。
先を歩く伊織君の背中をバシバシ叩いて、
やめてーなんて言ってると伊織君がマジで
痛えから加減しろと真顔で言ってきた。
そんなに力込めてなかったのに伊織君は
背中を摩りながら沈んだ空気が漂った。