Hurly-Burly 5 【完】
とてつもない隕石のようなものだった。
それほど、大きな衝撃だったんだ。
「ずっと傍に居て手を握っててくれたでしょう?」
どんなにそれが心強く思ったことか。
弱音なんて吐くつもりなかった。
そんな自分を認めたくなかったんだと思う。
「だから、あたしもちぃ君の力になりたい。」
もしも、傷ついても心が凍りついても、
今度はあたしが守ってあげる。
ちぃ君がパッと顔を上げて視線が交わる。
「ちぃ君」
片手で顔を覆ってちぃ君が泣きそうな顔を隠した。
「・・・・・やめてくれ」
どんなに強くたって弱さは誰にだってあるよ。
それを恥じることはしなくていいと思う。
弱いってことを隠す必要なんてない。
「・・・・・ちぃ君?」
そっと手を伸ばせば届く距離に居る。
冷たい空中を彷徨う指先にポツリ。
暗黒広がる空から舞い降りる白い塊。
指先に触れると溶けて水に変わる。
白から透明に変わって地面にシミを作る。
雪が地上に形を残して居られる時間なんて
ほんのわずかな時間なんだ。
そう考えるとなんて儚いものなんだろうか?
伸ばした手が目的地に行き着く前に、
前から伸びた手があたしを体ごと攫った。
ビックリして声を発することが出来ないあたしを
覆い隠すように抱きしめる。
離れてた距離がいきなりにも密着したことに
より心臓の動きが活発になる。
決して、強いわけじゃない。
だけど、弱いわけでもない。
こ、こんなの駄目じゃないかこの浮気者!
藍ちゃんが見たら悲しむよ。
友情の抱擁だとあたしは理解してても、
藍ちゃんには裏切り行為として受け取っちゃうかもしれない。
それでも、何も言えなかったのはちぃ君が
あたしの肩に顔を押し付けて背けたからだ。
ジトーっとちぃ君に視線を向ける。