君はひかり
「えっ?私、山村と申します。カギをどうぞ」

名前を聞かれたのは初めてではない。
ただ、2年程前から、フロントには対応者のネームプレートを置くことにしている。
それを置きだしてからは初めてだ。

『ありがとう』

名前を聞くだけで他に何か言うわけでもなく、カギを受け取りエレベーターに向かう女性を目で追う。

『先輩、どうしたんですか?』

「何でもないよ。なんでも…」


その女性はそれから毎月2泊必ず来ていた。

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