キモチの欠片

「出ていいよ。今日はもう帰るから返事はまた聞くことにするよ」

そう言って車のボリュームをあげた。

「すみません、お休みなさい」

バタン、とドアを閉めて車を見送った。

た、助かった。
一息つき鞄の中からまだ着信音が鳴っている携帯を取り出し通話ボタンを押した。


「パパ、どうしたの?」

珍しくパパからの電話だった。

『柚音、今大丈夫か?』

「うん。で、なにか用だったの」

『悪いが花音を迎えに行って欲しいんだ』

「ママを?」

話を聞くと、ママは友達と食事に出掛けてお酒を飲んでたらしい。
パパも家で友達とお酒を飲んでしまい、車を運転することが出来ない。

で、酔ってしまったであろうママのことが心配だからあたしに迎えに行って欲しいと。

なんだその理由は、と力が抜ける。
パパの溺愛っぷりはまだまだ健在だなぁ。

急いで家に戻って車のキーを持ち、駐車場にとめていた車に乗り、ママたちのいる居酒屋に向かった。
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