キモチの欠片

「ゆずぅ、ありがとね。大好きぃ……」


フフと真っ赤な顔をして抱きついてきたママを助手席に乗せ、ママの友達には後部座席に乗ってもらった。


もぅ、弱いくせに飲むから。

助手席で気持ちよさそうに目を閉じているママを見る。

タクシーで帰せばいいのにパパは絶対にダメだって。

年齢よりかなり若く見えるママ。
娘のあたしから見ても可愛いところがあり、子供の頃から自慢のママだった。


今日はお兄ちゃんもお姉ちゃんも忙しいからってあたしに回ってきた。
子供三人に順番に連絡するパパもどうよって感じだけど。


「ごめんなさいね、柚音チャン。久々に会って話が弾んで気が付いたら花音チャンがカクテル五杯ぐらい飲んでて……」


ママの友達はすまなそうに言う。



「五杯……それはかなり飲んじゃいましたね。でも、ママも楽しかったみたいですし気にしないでください。じゃあ、行きますね」


実家に向かって車を走らせた。

< 147 / 232 >

この作品をシェア

pagetop