キモチの欠片

「パパ、ただいま」

足元が覚束ないママを支えながら玄関のドアを開け、家に入るとパパが出てきた。

「柚音、悪かったな。ほら、花音しっかりしろよ」

パパがママの身体を抱きかかえる。

「あ、拓也さ……ん、ただいま」


ほろ酔いのトロンとした目のママがパパの首に腕を回し頬にキスをした。


もう、なんなのこの二人。
子供の前でやめて欲しい。
少しは慣れたつもりだけど、目の前で見るとやっぱり恥ずかしい。

しかも、お客さんもいるのに。
見ていられなくて片手で目を覆う。

ママを送り届けたし、そろそろ帰ろうとしていたらリビングから一人の男の人が顔を出した。


「オイオイ、こんなとこでなにやってんだよ。年頃の娘の前でイチャついて。あっ、鈴ちゃんおかえり」

パパたちに文句を言ったあと自分の奥さんに向かって満面の笑みを見せる。

あれ?
この顔どこかで見たような気がする。

誰だろう、思い出せない。
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