キモチの欠片

なにをされるのか分からす、ギュッと目を瞑るとコツンと額と額がぶつかった。


「んー、もうそんなに熱はないみたいだけど、まだ少し熱いぐらいだな。これでも貼っとけ」

「つ、めたぃ……ありがと」


額に貼られた冷えピタを手で撫でる。まだ熱ははかってないけど、薬が効いたのかな。


「おい、んなとこ突っ立ってないで早く布団の中に入っておけよ。そういや、飯食ったか?」


飯……?そういえば。


「朝から食べてないかも」


「だと思った。ちょっとキッチン借りるぞ。ゆずはいい子にしておとなしくしとけよ」


あたしの頭を撫で、買い物袋を手にキッチンに行く。

子供扱いしないでよ!と思ったけど言われた通り寝室に行きベッドに寝転んだ。


まさか葵とママがメル友だったとは……。
あ、そっか。だからあの時ママの口から葵の名前が出てきたのか、納得。


でも若い男とメールなんかしてパパが聞いたら怒り狂うんじゃない?


今度チクるぞ、なんて一瞬意地悪なことを考えて静かに瞼を閉じた。


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