片羽の蝶




上の人間は気付かなかっただろう。


俺がゆっくりと侵食していったあの人の内側に。


ゆっくり、ゆっくりと。

本人さえも気付かないように。

身体中を内側から蝕んでいった。


そして、この手を離される寸前。

俺は綺麗な蝶の片羽をむしりとったのだ。



もう二度と、一人では飛べぬように。




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