あの夏よりも、遠いところへ

これは、陽斗に抱いていた気持ちとはまるで違う。

でも、好きか嫌いかって訊かれたら、好きだと思う。うん、好きだ。そうか。清見のことが、わたしはとても、好きなんだ。

好きだから、こんなにもむかつくんだ。


けど、清見には好きなひとがいる。死んだっていう初恋のひと。わたしが彼女に敵うことは絶対にないんだろうな。ずるいよ。どうして死んじゃったの。むかつく。顔も名前も知らないひとだけどさ。

そのくせ、簡単に雪ちゃんと寝たりすんだ。雪ちゃんには彼氏いるよって言ったのに。男子高生って、そんなもの?

ああ、そうか。雪ちゃんは初恋のひとに似ているって、そういえば言っていたっけ。なんだよ。わたし、こんなところでも雪ちゃんに敵わないのかよ。


「もう一杯飲む」

「あした学校じゃないの?」

「そうだけど、飲む」


嫌いと好きが全身で渦巻いて、ぐちゃぐちゃだ。

清見はわたしをどう思っているんだろう。ただのクラスメート? それとももう、『小雪さんの妹』かな。

分かんない。あした学校で会うのが、こわい。会いたくない。「死ね」とか言っちゃったしさ。ていうか、むかつくのには変わんないし。


「陽斗。……こないだ叩いちゃって、ごめん」

「はは。朝日みたいな真っ直ぐな女の子に好きになってもらえるなんて、そいつは幸せだな」


よく言うよ。陽斗はわたしを選ばなかったくせに。

あした清見はどんな顔をしているだろう。わたしは、どんな顔をして行こう?

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