恋の魔法に


二人分の足音がする。



どこかの家から焼き魚のいいにおいがしてきた。

あー、お腹鳴っちゃいそうだな……



「メールできて楽しかったです。ありがとうございました」



前を歩いてる結城くんはチラッと顔だけを後ろに向けて言った。



「昨日は先寝ちゃってごめんね! 私も楽しかったよ」


「ほんとですか!」



声色が一気に明るくなった結城くん。

素直な子で可愛いなぁ。



「あの、先輩……なんか怒ってますか?」

「へっ?」



駅に到着して階段を上りきったところでそんなことを聞かれたので立ち止まってしまった。


私、そんな怖い顔してたのかな?




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