隣の彼の恋愛事情
「だいたい何で俺がいないうちに、こっそり逃亡図ってんの?」

「マンションだっていつの間にか引払ってるし」

(マンションまで行ったの!?)

「異動が急だったから」

思いついた言い訳を言ってはみるが

「お前、面と向かわなくても電話もメールもあるだろ。いつの時代に生きてんだよ」

(ごもっともです)

逃げ続けた私に対する怒りがMAXで、電話口でさえも怒りが伝わってくる。

「何のご挨拶もせずに異動してしまったのは、申し訳ありません。でも・・・」

「でも?」

「でも、もう異動してしまったら、私は三浦さんのお役には立てません。今までお世話になりました。またどこかでお仕事ご一緒できるとうれしいです。」

できる限り自分の気持ちを抑えて言葉を選んだ。

しばしの沈黙のあと―――
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