隣の彼の恋愛事情

* * *
背中を押されて店から出て、車で送ってくれるというアイツの後をついて駐車場まで歩いていた。

「送ってもらわなくても電車で帰れますよ」

そう言ってはみるものの、

「俺が送るっていってるんだからいいんだよ」

そういって、長い脚ですたすた歩いて行く。

「でも、お店いいんですか?」

「いいんだよ、もうごちゃごちゃ言わずに早く歩け」

そう言って、車までこちらを振り向きもせずに歩いて行った。

もう何度目だろうか、助手席に乗り込むとシートベルトを締める。

車を静かに発進させると、そこは完全に二人だけの世界になる。

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