隣の彼の恋愛事情
「じゃぁ俺が送っていくよ。家近所だし。」

チィ兄がそう言って立ち上がろうとすると、

「お前は来たばっかりだろ?もう少し飲んで売上に貢献しろ」

そう言って、アイツがチィ兄の両肩を抑えて座らせた。

「じゃあ私ももうちょっと飲んでチィ兄と帰るよ」

そう言って、もう一度席に座ろうとすると

「お前は、飲みすぎだ、もう帰れ。」

「三浦さんが来いって言ったから来たのに。」

私の言い分は華麗にスルーされた。

私は、背中をぎゅうぎゅうと押されて、出口に向かわされて

「チィ兄、また電話するね。」

それだけいうのがやっとだった。

「紅の鈍さは国宝級だからな、三浦も苦労するよ。」

そう言ったチィ兄の言葉が出口近くにいた私たちに届くはずもなく、カウンターのなかで清水さんが苦笑していた。
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