隣の彼の恋愛事情
様々な事情で、俺は長めの前髪や分厚いでかい眼鏡で仕事をしていた。もちろんスーツも、自分のクローゼットにある他の服に比べると、格段にリーズナブルなものだ。

そんな‘ダサい’俺に周りの女子社員は厳しい。

‘オタク’だの‘暗い’だの‘鉄仮面’だの言いたい放題だ。たまに話しかけると、露骨に嫌な顔をするやつまでいる。

(あいつらは何しに会社に来てるんだ)

正直呆れて仕事を頼む気にもなれない。

ただ、神崎はちがった。

俺がどんなに‘オタク’だろうと‘暗い’と言われようと(いや実際は違うんだ!)いつもその‘緩い’笑顔を向けてくる。

たまに就業時間間際に仕事を頼むと、一瞬不満そうな顔をするのがおもしろくて、ついつい無理な依頼をしてしまう。

しかも、その不満そうな顔をした後、すぐに仕事に集中した顔になり、それが終わると満足そうに「にこっ」っとする。

それを横目で‘ちらっと’みるのが俺の楽しみになっていた。
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