隣の彼の恋愛事情
無理やり連れてこられたのは、店の事務所だった。

私を、乱暴にソファーに座らせると、まずはかかってきた電話に応対していた。

私はその間事務所をまじまじと見回しながら、異常にかっこいい三浦さんを好奇心いっぱいの目で見ていた。

―――――

電話を終えた三浦さんが何も言わないまま、タバコをとりだして高そうなライターで火をつけた。

会社では、あんなにダサい(失礼)し、オーラもへったくれもないのに、人間ってここまで変身できるんだ。

タバコを吸いながら思案している顔は、今まで私が認識していた三浦さんとは天と地ほど違う。


「タバコ吸うんですね。」
私が話しかける。

「まさか神崎にバレるなんてへまするとは……」
は~っとため息をついた。

「私みたいな貧乏OLがこんな会員制のお店にくるとは思ってなかったってことですね。」
棘のある言い方をしてみた

「あぁそうだ。」

(いや実際一人では来れないけど、ちょっとは否定しようよ)

私は、会社でほとんど明かされていない三浦さんのプライベートが知りたくて、質問した。

「あの~オーナーってどういうことですか?さっきも言いましたけど、社員の副業は我社では禁止されています。」

鉄仮面の弱みを握った私は強気に出てみた。

「バレたら大変ですよね。」
私はちょっとしたいたずらのつもりで、彼を上目遣いで睨んでみた。


< 17 / 335 >

この作品をシェア

pagetop