隣の彼の恋愛事情
そこから奏でられる神崎の可愛い声に俺の体温が急激に上がっていくのを感じた。

「―――斗馬」

こんなにも自分の名前を呼ばれることに喜びを感じたことが今まであっただろうか。

「紅緒」

こんなにも愛しいと思える相手の名前を呼びたいと思ったことがあるだろうか。

俺は自分の腕の中にある、壊れそうなほど柔らかい体をゆっくりとしっかりと堪能した。

やっと俺の手に入れた、俺の心がどうしても欲しいと思った大切な女。


「好きだよ。紅緒」

こんな恥ずかしいセリフとともに、俺は紅緒の体に溺れるように沈んでいった。
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