隣の彼の恋愛事情
どこもかしこも柔らかく甘い紅緒の体。

それに加えて‘初めて’だと言うではないか。

一瞬何を言っているのかも理解するのに時間がかかった。

この歳まで大切にしてきたものを俺にくれると言うだけでも、体の芯に熱い何かが走った。

優しくしてやりたいが、俺だってずっとこうしたかった。

正直に

「俺だって、もうそろそろ限界」

と伝えると

「お手柔らかにお願いします」

と答えが返ってきた。

紅緒らしい答えをうれしく感じながら、柔らかい胸に顔をうずめた。

紅緒が初めてだと申告してきたが、俺もこんなに体が熱くなったのは初めてだった。

今まで俺が経験したことは一体なんだったんだろうと思うほど、紅緒の体は俺をおかしくした。

真っ赤に染まった頬、薄く開いた唇、潤んだ瞳で俺の目を見つめて「斗馬っ」と呼ばれると、俺の心拍数が上がるのがわかった。
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