隣の彼の恋愛事情
***

あの日、斗馬は私を追ってはこなかった。

タクシーにすぐに乗ってしまったので、事実は分からないがきっと結子さんと話をしたんだろう。

きちんと話をせずに飛び出してきたことを後悔はしていたものの、あの場で事実がはっきりしてしまうのが怖かった。

斗馬を信じていないわけじゃないけど、もしも結子さんとの結婚が本当ならば私はその場で正気を保っている自信がなかった。

こうやっていつもよくないことが起こると逃げ回るのは悪い癖だと思っているが、すぐに立ち向かえる勇気が私にはなかった。

そして逃げていてもどうにもならないことも、私自身が一番よくわかっているのに。

全部斗馬のせいだと、斗馬を責めたけれど斗馬が悪いんじゃない。
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