隣の彼の恋愛事情
「大丈夫かっ?」

びっくりした斗馬が少し大きな声で聞いてくる。

指先を見るとプックリと血が盛り上がっていた。

「貸せっ!」

そう言って私の手を取った斗馬が人目もはばからずに血のついた指を自分の口に含んだ。
「ちょ、っとはずかしいよ」

私はとっさの斗馬の行動を停めることができずに、手をがんばって振りほどこうとするが、力で斗馬にかなうはずがない。

私を一瞥した斗馬は口の中で私の指をペロッっと一舐めするとやっと解放してくれた。

「もう、恥ずかしいじゃない。こんなところで!」

真っ赤な顔と小さな声で斗馬を責めるがどこ吹く風。

「お前が言うこと聞かないで、ふらふらしてるからだよ」

反対に私が責められた。

いくら私が睨んだところでまったく気にしてない様子で、再度私の手をとって歩き始めた。
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