隣の彼の恋愛事情
「神崎さん、少しお話できるかね?」

口火を切ったのは斗馬のお父さんだった。

「はい」

小さく一言返した私は斗馬に促されてお父様の後をついていった。

たどり着いたのはホテルの一室で、部屋に入るとソファに座るように促された。

席についてしばらくは誰も一言も話をせず、斗馬はただ私の手を握ってくれていた。

そこにノックの音が聞こえて、お父様の秘書の人がティーセットを運んできた。

正直緊張でのどがカラカラだった私は落ち着くためにも、紅茶を一口口にした。

お父様も一口紅茶を飲むとソーサーにカップをもどしたので、私もそれにならってカップを置いた。

「で、きちんと紹介はしてくれんのか?」

そう斗馬にお父様が促す。
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