隣の彼の恋愛事情
「ジジィだけじゃないですよ。僕も彼女の虜ですから」

そう言いながら斗馬が現れた。

(もう、遅いよ~)

私の目を見てすべてを悟ったようで、私の手を引くと頭をポンっと撫でてくれた。

(ちょっとお父様の前でこれは・・・・)

「君も確か、神崎さんの会社の・・・」

山本社長が言い切らないうちに

「三浦です」

「三浦さん、ということは噂のご子息は彼だったのかね」

そう言って、山本社長は目を見開いた。

「そうです。愚息なもので、今は社会勉強をさせております」

そう斗馬のお父さんが答えた。

「そうかね、君がね~それで神崎さんと良い仲になったんだね」

目を細めて、にこにこと私と斗馬を見ている山本社長はなんだか嬉しそうで

「いや~いつまでたっても神崎さんお嫁に行かないから、誰かと無理やりくっつけようかって家内と話してたんだよ」

「それは、困りましたね」

斗馬がそう返すと

「それならきちんと捕まえておかないと、こんな良い子なかなかおらんよ。わしが若かったらすぐにものにしてるわ。わははは」

豪快に笑う山本社長は続けて

「三浦さんも、いいお嫁さんが見つかって安泰ですな。ますます会社が発展しそうでわしもうかうかしてられんな」

そう言いながら、

「若い二人を見ていたら、妻に会いたくなったから私はそろそろ失礼するよ」

最後に私の方をポンっと叩いて椅子を立った。

「では、三浦さんお先です。神崎さんのおかげで楽しいパーティだった」

そう言いながら、嵐のようにひっかきまわして山本社長は去って行った。

後に残されたのは、ボー然とする私と、可笑しくて仕方ないと肩を震わせる斗馬と、それをたしなめようとする斗馬のお父さんだった。
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