隣の彼の恋愛事情
翌日、朝の更衣室では昨日のアイツと結子さんについての噂がすでに花を咲かせていた。

「昨日、三浦さん訪ねてきた人、どうやら彼女らしいよ。」

「えっ、私は婚約者ってきいたんだけど。」

真ことしやかに囁かれた噂は、もちろん私の耳にも入ってきていた。

(この短時間でどうやって情報収集したんだろ?今までアイツの私生活なんて誰も知らなかったはずなのに)

今まで自分だけが知っていたアイツのことを、こうやって噂話で聞くのがなんだか耐えられない。

そう思いながら、朝の身支度を手早く済ませていた。

「まぁ、女房気取りの誰かさんとは大違いで、綺麗で清楚な方だったわよ。」

受付の女の子から間違いなく自分に向けられた言葉を聞き流す振りをしながら、ロッカーを占めて、デスクのあるフロアに向かった。

(女房気取りね・・・そんないいものじゃないのに。)

昨日よりも、大きくなったため息をつきながら、業務にとりかかった。
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