隣の彼の恋愛事情
どんなに気持ちが落ち込んでいたところで、仕事は待ってくれるわけもない。
ただ、仕事に打ち込んでいるときは、余計なことを考えなくてもすむ。
元凶であるアイツとは仕事以外の話を一切せず、そのことに不審な表情をアイツが見せたが、気がつかない振りをして、ただひたすら仕事に打ち込んだ。
はずだった・・・
「お前、何やってんだよ。」
隣から叱責されて、ようやく自分のミスに気づいた。
朝頼まれた伝票の入力を時間ギリギリまで失念していたのだ。
アイツが時間前に気がついて、事なきを得たがもしそのまま失念していればと思うと、背中に冷や汗がつたう。
(集中して仕事してたつもりだったのに。)
「こんなミス今までしたことなかっただろ?いい加減な仕事するな。」
普段王子スマイルで私以外の人には人あたりがいいアイツが声を荒げるのを見て、フロアが一瞬静かになった。
言い訳もできないミスをして、うつむくことしか出来ない私は情けなくて涙をこらえるだけで精一杯だった。
「もういい。」
そういうと、アイツは席からたってフロアから出て行った。
行き先の書いてあるホワイトボードには取引先の名前を直帰の文字があった。
「いい気味。」
後ろを通った女子社員があざ笑うかのように私に言葉を投げつけてきた。