椿ノ華



「行くぞ、椿」

「…はい、葵さん」


歩き出した葵に着いて行く。

壱の方を振り返ったりはしない。


「…椿」

「はい、葵さん」

「…手紙を読んだか」

「はい」

「何が書いてあった?」

「…秘密、です」

「…そうか」


葵もきっと読んだのだろう。

無機質な瞳には、何処か悲しみが浮かんでいた。


「後悔、していらっしゃいますか」



< 198 / 243 >

この作品をシェア

pagetop