椿ノ華



「…していない。だが…俺は、」


ぐっと葵が飲み込んだ言葉を知る事になるのは、
もう少し先の事。


「あ…っあ、葵、さっ…」

「椿っ…」


熱い吐息が篭る部屋。

まるで何かの感情をぶつける様に、強く抱かれた。


「んっ…、ん」


行為中には滅多にしないキスも、
今夜は何度も求められる。


「…椿…愛してる…」

「…葵さ、」



「嘘でもいい。俺を求めろ。

愛してるって、言ってくれ」



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