椿ノ華
その時、一陣の風が吹いて。
椿の長い黒髪を靡かせる。
「……」
息子に、"葵"と名付けたのは壱だ。
こうして二人で無邪気に遊んでいると、
葵と出来なかった普通の友人関係を、
やり直している様な気分になると言っていた。
だからこそ、叱っているととても変な気分だと。
麗羅と紫野。
二人の事は、結局警察には言わない事にした。
壱は最後まで渋っていたが、「今の二人なら、正しくやり直せる」と、
椿が説得したのだ。
今はきっと、何処かで幸せになっていればいい…
と、そう思っている。