椿ノ華
「…わ、私、こんなに高いヒール履いた事無いから…その、」
「うん、だろうなって思ったからそれに決めたんだ」
「え…」
「腕組む理由になるでしょ?はい、どうぞ」
椿の隣に立ち、腕を差し出す壱。
「…意地悪、なんですね」
悪態をつきながらも、壱の腕に自らの腕を絡めた。
「葵とこうして歩いてる君見て、実はちょっと羨ましくてさ」
「え?」
「僕もこうして君と歩きたかった、って意味」
ふわりと、柔らかい笑み。
ドキンと心臓が跳ねた。