椿ノ華



「…わ、私、こんなに高いヒール履いた事無いから…その、」

「うん、だろうなって思ったからそれに決めたんだ」

「え…」

「腕組む理由になるでしょ?はい、どうぞ」


椿の隣に立ち、腕を差し出す壱。


「…意地悪、なんですね」


悪態をつきながらも、壱の腕に自らの腕を絡めた。


「葵とこうして歩いてる君見て、実はちょっと羨ましくてさ」

「え?」

「僕もこうして君と歩きたかった、って意味」


ふわりと、柔らかい笑み。

ドキンと心臓が跳ねた。



< 80 / 243 >

この作品をシェア

pagetop