さよならの見つけ方 第3章 *君の声がする*
朝よりは晴れていたけれど、空はまだどんよりと暗かった。






雨が降るかもな、と思いながらクリスの家へと向かった。










空気がじんわりと湿っていて、張りつく髪や服が気持ち悪い。






少し走ると、やはりぽつぽつと雨が降ってきた。










あっという間に音を立て始めた雨が、地面を濡らしていく。






もどろうか、とも思ったけれど、クリスの家がもう視界の先に見えていた。














――――クリスの家は大通り沿いにある公園の、すぐ近くだ。









小さな門を抜けて玄関のベルを鳴らすと、

階段を降りてくる、聞き慣れた足音がする。






確認もせずにドアを開けたところをみると、

大通りを向かってくる私の姿を、部屋の窓から見付けていたのだろう。










「来ちゃった」






そう言って笑ってみるけれど、ドアを開けたまま、クリスは何も言わない。










「上がっていい?」






クリスの笑顔がどことなくぎこちないのは、私の気のせいなんかじゃないのだろう。










「…カンナ、

すぐ来ると思ってた」






「あ、うん」






やっぱりクリスには、ばれてるか。






さすがだね、と笑ってみるけれど、

クリスの笑顔が少し悲しい。











「…マイケルのことだろ」






「うん…」







変声の話は、

同じ男の子であるクリスに相談した方がいいんだろうな、と思ったんだ。


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