さよならの見つけ方 第3章 *君の声がする*
「私はこういう時、

何もしてあげられないんだなぁ…と思ってさ」






クリスのベッドに腰掛けると、その古いベッドは音を立てて大きくきしんだ。










「性が同じじゃないのって、

時々寂しい」






「…何もしてあげられないってことは、ないと思うけど」






「…そうかな」






「カンナにだって、大変な時あったんじゃないの?

家に女一人じゃん」






「…うん、確かにちょっと居づらい時はあったな。

洗濯物のこととか、お風呂のこととか…。

ロバートも多分、すごく気を使ったと思う」






「男手一つだもんなぁ、ロバート。

…その点うちは男二人だから、何の不自由もしなかったけど」






「うん、そっか」






「…結局、一人で乗り越えるしかないんだよ。

ソプラノ歌ってたマイケルには、ちょっと辛いかもしれないけど」






「うん」










「時が解決してくれるのを待つことだね。

…あいつはきっと、いい声になるよ」






「うん」










そう言って笑うクリスの低くなった声を私は、とってもとっても素敵だなと思う。




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