さよならの見つけ方 第3章 *君の声がする*
「…クリスも、悲しかった?」






「ん?」






「変声したとき」






「あぁ、うーん、

まぁ…」










首の後ろをかくクリスが動く度に、腰掛けているベッドがきしむ音がする。






「オレはどっちかっていうと、嬉しい気持ちの方が強かったかな。

早く大人になりたいって、

ずっとそればっかり思ってたから」






「そうなんだ」






「…こんなこと言ってる時点で、まだまだガキな証拠なんだけどさ」






そう言って珍しくおどけてみせるクリスと、顔を見合わせて二人で笑ってみた。













乗り越えなければいけない時は、やっぱり一人なんだな。






チャドもクリスも、世界中の男の子たちも、

みんな一人で抱えて、昇華して、乗り越えてきたことだから。










聞き慣れた自分の声をいきなり失う怖さというものを、私は知らずに生きているけれど、






失った声を懐かしく思ったり、悲しんだりするその心の隣に、



静かに寄り添ってあげられればいいなと、私は思う。

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