さよならの見つけ方 第3章 *君の声がする*
マイケルの最後のソプラノの歌を聴いたのは、1ヵ月程前のことだろうか。
よく晴れた日曜日。
人で埋め尽くされた教会の祭壇の右側に、綺麗に並んだ男の子たちの列。
その真ん中で、すっと背筋を伸ばしてソロを歌うマイケルを、私は静かに見つめていた。
まっすぐまっすぐ前を見て、ゆっくりと声を伸ばしていくマイケル。
マイケルはその日、本当に丁寧に、
噛み締めるようにソロを歌っていた。
礼拝に訪れた人々がみんな、息を詰めて聴き入ってしまう程。
いつもの笑顔の中にどこか憂いを含んだような、少し切なげな表情で。
その声がもし目に見えるとするならば、
澄んだ光、
羽根のように優しく舞う花びらや、
見上げる空に飛ぶ、白い鳥の描くアーチのような、
そんな美しいものに姿を変えるのだろう。