さよならの見つけ方 第3章 *君の声がする*
もしかしたらそろそろなのかなと、私は静かに思っていた。






その予感をもしかして、マイケルも感じていたのだろうか。














変声の直前には、



一番高く美しい声が出せるという――――














「忘れないよ」






あの声を、忘れられるわけがない。










私の言葉を聞いて嬉しそうに微笑むマイケルが、ふくらんできた喉に指を当てて、

あ、あ、と声を出している。










「早くこの声に慣れなきゃね。

…新しい、僕のパートナーだ」






胸が切なくなるような言葉を、マイケルは簡単に口にする。






いつの間にこんなに強くなっていたんだろう。






まだまだ子供だと思って油断してしまっていた。






ゆっくりと立ち上がって、マイケルの頭をきつく抱きしめると、



苦しい、とマイケルは小さく笑った。






その声に私は少しだけ、涙が出そうになった。


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