さよならの見つけ方 第3章 *君の声がする*
「…片道2時間かぁ。
週1くらいは、会いに行けるかな」
「週1?」
「うん。
週末ならお泊まりとかも出来るかもね。
寮とかではないんでしょ?」
「うん。
まだその辺は全然決まってないんだけど」
「そっか」
「……」
「……」
「…カンナは、ロンドンに住んでみたくない?」
「え?」
「…だから、
一緒に暮らさないかって」
「……」
「ロンドンで、安いフラット借りてさ」
あんまり驚いて、危うくペンを落としてしまいそうになった。
「クリスと、一緒に…?」
「うん」
「……」
「やだ?」
「…そういうわけじゃ…」
ないけれど…。
「まぁいいや。
考えておいて」
そう言ってクリスは、静かにノートに視線を落とした。
いつもと変わらない、涼しげな表情で。
クリスが冗談でこんなことを提案する人ではないことを、私はよく知っている。
あっけらかんとした言い方だけど、彼なりにきっと色々悩んで出した結果なのだろう。
だからこそきちんと私も答えを出さなければと思った。