さよならの見つけ方 第3章 *君の声がする*
二人で暮らすって、どんな感じだろう。
大きなベッドを買って、毎日くっついて眠って、
洗濯物を一緒に洗えて、
ただいまも、いってらっしゃいも、
おはようも、おやすみも、
直接言える距離で。
目を覚ましたときに大好きな人が隣にいるって、どんな感じだろう。
「…お父さんはなんて?」
「ん、
一週間に一度は必ず連絡をよこせって」
「そっか。
許してくれたんだ」
「…ずっと好き勝手やらせてくれた親だしね」
「あはは、確かに」
「……」
「…もし、クリスと一緒に行きたいって言ったら、
ロバートとマイケルは、何て言うかな」
「…うん」
「…その時は、隣にいてくれる?」
「うん、
オレから二人に言うよ」
気が付くと雨が上がっていた。
図書館を出ると、風だけが強かった。
すごい速さで飛んでいく雲と、風を含んで広がるスカート。
水たまりをとんとんとよけながら、繋いだ手を揺らした。
離れて暮らすとか、家を出るとか、考えられないって思ってた。
この街を離れること、
新しい土地で暮らすこと。
楽しいことばかりじゃないっていうことも、ちゃんと分かってる。
私たちはまるで子供みたいだ。
目の前に広がる未来が、
こんなにも嬉しくて待ち遠しいなんて――――