古城の姫君
　ジンジャーは前に進み出ると、音を立てないよう静かに扉を押し、部屋に入るなり剣を抜きました。

　二人が部屋に入ると、そこには――モップが1本つっ立っていて、床を掃除していました。しかし、そのモップを持っている人がいません。ひとりでに動くモップを見た二人は、驚きのあまりその場に立ちつくしました。

　まるで、モップに命が宿り、自分の意思で床をふいているかのようです。とても奇妙な、信じられない光景でした。
　
　部屋の奥にはソファがあり、そこには人がいました。背を向けて座っています。髪が長く、どうやら女性のようです。

　そのとき、女性が振り返り、ジンジャーとクロークスの存在に気づきました。
　
　するといきなりモップの柄（え）がパタンと床に倒れ、モップは動きを止めました。
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