鈍感ガールと偽王子
「ごめんなさい…!あたし、今…」
「いや、いいよ。ほんとのことだし。それに本当に好きで付き合った子なんていないから、それだけでも俺、サイテーな男だからさ」
「え…」
こんなにカッコよくて。
王子、なんて呼ばれて。
きっと、人気者だったに違いない椎葉くんなのに。
……なのに、好きな子と付き合ったことが、ない…?
あたしには理解できなくて、首を傾げた。
じゃあたしなんて、一生好きな人と恋人になるなんて無理なんじゃあ…。
「だって、みんな俺の見た目しか興味ないんだぞ?そんな奴らしか寄ってこないのに、いったいどうやって好きになれって言うんだよ」
開き直ったように言った椎葉くんは、今度は悲しそうな顔ではなく拗ねたような顔をしていた。