恋するキミの、愛しい秘めごと


次の日、せっかく来たのにホテルに籠りきりなのもどうかと思い、午前中に少しだけ街を歩いた。

空港で前のグループの子たちが話していた通り、やっぱり日本とは少し空気が違う気がする。

どこが違うのかと聞かれたら、具体的に答えられるわけではないのだけれど。

緑の匂いというか、土の匂いというか……。

とにかく日本の私が住んでいる街よりも自然の香りがする。

その空気を大きく吸い込んで天を仰ぐと、青い空が瞳に映った。

「真っ青だなぁ……」

この空の下に、カンちゃんが住んでいるのか。

そう考えるとまた体が緊張し始めて、落ち着かなくて。

別のことを考えようと思った時、頭に浮かんだのは、最後に日本で会った夜、空を見上げた高幡さんの言葉だった。

“今日は無理か”――そう呟いた彼は、一体その先にある何が見たかったのだろう。

それに、ずっと忘れていたその言葉を、なぜ今思い出したのか……。

「何かもー……頭の中、グチャグチャ」

答えが出るはずのないことばかり考えていると、また胃痛にやられてしまいそうな気がしたから、それを振り払うように大きく深呼吸をして。

篠塚さんと榊原さんと小夜のお土産を買って、お昼過ぎにはホテルに戻り、出かける準備を始めることにした。

< 202 / 249 >

この作品をシェア

pagetop