恋するキミの、愛しい秘めごと


「こんな感じでいいのかな……」

シャンパンゴールドのドレスに身を包む自分の姿を全身鏡に映して呟く。

髪はコテでクルクル巻いてハーフアップにし、いつもよりも少し濃いめのメイクをした。


散々スッピンを見られているのだから、今更と言えば今更なんだけど……。

カンちゃんに逢えた時に、少しでも可愛いって思ってもらいたい――なんて、私にもこんな乙女心が残っていた事にビックリだ。


時計を見ると、もうすぐ3時。


ホテルのフロントで、パーティー会場である美術館までの所要時間を尋ねたところ、タクシーで15分程度だと言われた。


「3時半に出れば十分だよね」

あまり早く行っても、知り合いもいない上に慣れない場所で、手持ち無沙汰になるのは目に見えているから。

もう少ししてから出ようと、小さなクラッチバッグに必要最低限の物を詰め始める。


お金と時計と、グロスと携帯……。

そして最後に手に取った招待状をもう一度開いてみた。


宛先に“Shinji Numata”と書かれたこの招待状は、元々は部長宛に届いたものだったらしい。

大切な接待が入っていて出席出来そうになかった部長と課長が、それを篠塚さんに託した。


「これが私に回ってきたのも、それを持ってシュンを訪ねて、南場さんとの事を聞いたのも、全部“タイミング”なのよ」――微笑みながらそう言った、篠塚さんの言葉が甦る。


「“タイミング”か……」

天井を見上げながらポツリと呟いて、ゆっくり息を吐き出した。

もうここまで来たら、“なるようになれ”だ。


「よし! 行きますか」

胸のドキドキを隠すように気合を入れて招待状をバッグにしまうと、ホテルの部屋を後にした。

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