スーツを着た悪魔【完結】
「あ、ごめんなさい、払います!」
斜め掛けのバッグに手を掛けると「初デートだし払うの当然だろ」と、言われ、そのまま右手をつかまれた。
いきなり手をつかまれ、目を真ん丸にするまゆに、深青はゆっくりと言い聞かせるように口を開く。
「だから――これは恵んでるんじゃない」
しっかりと目を見て言われて、ドキッとした。
もしかして私が言ったこと、気にしてたの……?
あんなの……我ながら、馬鹿みたいなプライドだと思ってたのに。
だけど嬉しかった。
豪徳寺深青にも、話を聞こうとする態度があるんだって。
こっくりとうなずくと、そのまま大きな手がするりとまゆの手のひらに合わさり、指がからむ。
「!?!?!?」
「うーん……どうぶつ広場、ふれあい広場、しばふ広場……。つーか、緩いな、全体的に……。中学生どころか、ファミリー層向けか」
どうしてこの人はいきなりこういうことをするんだろう……。
園内の掲示板を見上げて笑う深青の横顔を、硬直したまま凝視する。