スーツを着た悪魔【完結】
「酔いが醒めるまで……触れてもいいか」
それから深青はまゆと向き合い、額に唇を押し付ける。
「深青……」
少しかすれた声に深青の「男」の部分を感じて、まゆの胸は自然と高鳴る。
現在、まゆはほとんど自分のアパートに帰っておらず、彼のマンションで過ごすほうが多くなっていた。
夜は同じベッドで眠るが、一線は越えてはいない。
まゆに男の生理はわからないが、深青はかなり辛抱強く待ってくれているように思う。
抱き合えないのに一緒に眠るのは悪い、せめて私はソファーで寝ると、何度も深青に言ったのだが
「欲しいけどそれだけじゃない」
と、彼は取り合わなかった。
実際、深青は――
自分の腕の中で穏やかに眠るまゆを見つめる時間がなによりも幸せだったのだ。
洗いざらしの柔らかい髪、さらりとした素肌。伏せられた長いまつ毛。赤い唇。
呼吸に合わせてゆっくりと上下するまゆのパジャマの中の胸。
何もかもが愛おしくてたまらなかった。