スーツを着た悪魔【完結】
「どうした急に……」
「……違う……の」
「まゆ?」
まゆはうつむいたまま首を横に振ったあと、両肩に置かれた深青の手をぞんざいにならないよう、気を付けて離す。
「今日は、帰らせて……」
「違うって、なんだよ……。駄目だ、このまま帰るなんて許さない!」
深青は我を忘れて叫んでいた。
断られて傷ついたとかそういうことじゃない。
(確かにベッドで拒まれたのは生まれて初めてだが)
プライドうんぬんというよりも、まゆが理解できなかった。
好きと言われて舞い上がった。もう、待つ必要はないと感じた。
まゆの漆黒の瞳は、間違いなく俺に愛されることを望んで、熱にうるみ、体も心も一つになりたがっていた。
だけど……泣くほどいやってどういうことなんだよ!?
頭に血が上って、自分でも何をどう言っていいかわからない。
そして何より、まゆが自分を見ないことに苛立ちが募る。