スーツを着た悪魔【完結】
――――……
「グスッ……」
あとからあとから込み上げてくる涙をぬぐいながら、まゆはホテルの前に停まっていたタクシーに乗り込んだ。
終電の時間はとうに過ぎていた。
あまりお金を使いたくなかったけれど仕方ない。
深青とも過去待ち合わせした、自宅アパート近くのコンビニの場所を告げて、膝の上のバッグの中のハンカチを探したが、落としてしまったのか見つからなかった。
しかたなくうつむいたまま、涙をこぼす。
深青のこと……傷つけた。
ごめんなさいとしか言えなかった。
きっと彼は私のことを嫌いになっただろう。
勘違いかもしれないけれど…
レストランで頼景さんは私のことを「ペット」だと言ったような気がする。
ペット。愛玩するために、可愛がるために側に置く存在。
あながち間違いではないかもしれない。