スーツを着た悪魔【完結】
うんと振り回されて。思考は犯され、まともに睡眠もとれない。
思い出せば息も出来なくなるほど、胸が締めつけられて――苦しくなって……
けれど胸の奥に込み上げてくる思いは
ただ愛したい……
そんな思いだった。
好きで好きで。何があっても嫌いになれない。無視できない。
側にいたい。自分を見てほしい。
「お前を愛したいんだ、まゆ……」
根気強く、まゆに語り掛ける深青。
「――っ……」
まゆが黒く澄んだ瞳を大きく見開いて、唇を震わせる。
そんな彼女の頬を、指の背で優しく撫でながら、首の後ろに手のひらをまわし体を引き寄せる。
そしてもう一方の手で、震え続けるまゆの背中を撫でた。