スーツを着た悪魔【完結】
「まゆ……なにか、飲むか? 紅茶とか……」
隣に座ってまゆの頬に手を置き、親指で涙のあとをぬぐっていると、ドアが軽くノックされた。
「今忙しい! あとにしてくれ!」
と、深青は苛立ちつつ叫び返したのだが
「忙しいって、そんなはずないでしょ!」
バーンとドアが開き、未散が飛び込んできた。
「もうっ、約束したのにどうして連絡してこない――はっ!!!!」
ミニスカートから、相変わらずの脚線美を見せつけながら、つかつかと深青に近づいてきた未散だったが、深青の隣の、泣き濡れたまゆを見て目を見開いた。
「おっ……お兄ちゃんっ……」
ワナワナと震える未散を見て、深青は頭を抱えたくなったが、もう遅い。