スーツを着た悪魔【完結】
「さっ、さっ、最低っ……!!!!!! 女の子泣かすなんて、さいっていっ……!」
未散は涙目になりつつ、履いていた武器にもなりうるピンヒールを脱ぎ、手に持つ。
Chanteのもっとも美しくエレガントなピンヒールシリーズ。
あれで殴られたら、確実に血を見る。
「ちょ、待った!」
慌てた深青はまゆをかばいつつ血気盛んな妹を止めようとしたが――
「待ちませんっ!」
キーッと目くじらを立てる未散を見て、まゆはハッとしたように意識を取り戻し、慌てて二人の間に割って入った。
「未散さん! 違うんです! やめてくださいー!!」
「えっ!?」
大きく振りかぶった手を、寸前で留める未散。
なぜ泣かされているはずのまゆが自分を止めるのか……。
怪訝そうに眉をひそめる。