スーツを着た悪魔【完結】
未散は戸惑う深青を無理やり部屋の外へと押し出し、それからまゆの隣に腰を下ろした。
「この部屋の続き部屋、洗面台があるから顔洗ってきたらいいわ」
「はい……」
さすがChanteの重役室。続き部屋にはまゆの部屋より広いスペースがあり、このままここに住めそうなくらいの設備もあった。
言われたとおり顔を洗って戻ると、未散がニコニコ笑いながら、自分の隣をぽんぽんと叩く。
いったいなんだろう……
不思議に思いながら腰を下ろすと、そのまま未散に上半身を抱き寄せられてしまった。
「ひゃっ……み、未散さん?」
「よしよし」
まるで子供にするかのように、未散はまゆの頭をいいこいいこ、と撫でる。
未散はすらりと背が高いのに、抱きしめられると実に女性らしい凹凸があり、ふわふわしていた。