スーツを着た悪魔【完結】
それから三年。
まさかこんな形で再会するとは思わなかった……。
まゆは唇をかみしめる。
どうやら会話の端々から察するに、深青は新しく事業を立ち上げ成功させているらしい。
はしゃいでいる女の子たちが彼を見てうっとりするのも当然だ。
けれどただ一人、まゆは無言で、ウーロン茶のはいったグラスを握り締めたまま、正面に座った深青をにらみつけていた。
無意識に、彼のどこかに「以前より劣ったところ」がないか探していたのかもしれない。
(だからって、彼に酷い目に合わされた、という自分を慰められるわけではないのだけれど……)
けれど三年たった豪徳寺深青は、くやしいことに、さらに男としての凄味を増しているように見えた。
例えば、見上げるほどの長身にぴったりのスーツは、間違いなくフルオーダーで
顔が映るほど磨き上げられている靴も、オーダー。
(彼の実家は高級シューズメーカーの『Chante(シャンテ)』だ。まゆの半月分のお給料が、ベーシックなパンプス一足で飛んでいく)